「分裂するスピン -磁性絶縁体中に創発するマヨラナ粒子-」
求 幸年 氏

Dec 25, 2017


日本物理学会北海道支部講演会

講演題目: 分裂するスピン -磁性絶縁体中に創発するマヨラナ粒子-
講 師 : 求 幸年 博士
     東京大学大学院工学系研究科・教授
日 時 : 平成29年12月25日 (月) 18:00-19:00
場 所 : 北海道大学理学部 2号館2-404 室

要 旨 :
強相関電子系ではしばしば新しい量子状態が発現し、その素励起として興味深い性質をもった準粒子が創発する。例えば、磁場中の2次元強相関電子系に現れる分数量子ホール状態では、電子と磁束量子が結合してできる複合粒子が凝縮した新しい量子状態が発現し、その素励起として、分数電荷をもったフェルミ粒子でもボース粒子でもないエニオンと呼ばれる準粒子が創発する。本講演では、こうした強相関創発現象のひとつとして、量子スピン液体状態におけるスピンの分裂現象について論じる。量子スピン液体とは、磁性絶縁体において、強い量子揺らぎによって発現する新規な量子状態である。そこでは、通常の磁気秩序の代わりにトポロジカルな秩序が生じ、電子のもつスピンの自由度が複数の準粒子に分裂する特異な現象が現れる。こうして創発した準粒子は、強い量子的なエンタングルメントをもつため、分数量子ホール状態におけるエニオンと並んで、量子コンピュータ実現の鍵として大きな注目を集めている。本講演では、キタエフ型の量子スピン液体をとり上あげ、そこに現れるスピンの分裂現象と創発されるマヨラナ粒子がもたらす新規な量子現象について議論する。理論的な側面にとどまらず、近年爆発的に進んでいる実験研究についても触れ、理論と実験の現状を概観する。

世話人  速水 賢
(hayami@phys.sci.hokudai.ac.jp)
北海道大学理学部物理学科 (電話011-706-3484) (実施済)


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「有機導体における自由度と相転移 −伝導電子と局在モーメントが織りなす不思議な状態-」
西尾 豊 氏

Dec 18, 2017


日本物理学会北海道支部講演会

講演題目: 有機導体における自由度と相転移 −伝導電子と局在モーメントが織りなす不思議な状態-
講 師 : 西尾 豊 博士
     東邦大学理学部
日 時 : 平成29年12月18日 (月) 16:00-17:00
場 所 : 北海道大学理学部2号館2-211室

要 旨 :
有機導体は低温でも様々な自由度が大きな寄与を保っており、多彩な相転移を繰り広げる。分子同士が弱い分子間力によって結ばれているための大きな格子振動、伝導に寄与するπ電子系の狭いバンド幅による大きな自由電子系の自由度と局在化によって現れるスピンの自由度等である。そのなかでもBETS2FeX4系ではこれらの自由度により、超伝導相、絶縁体相、磁気秩序相が共存あるいは競合し、ゼロ磁場では絶縁体反強磁性相が安定化するのに対し、強磁場中では通常抑制される超伝導の発現がみられる。本講演ではこれらの系の特徴的な相転移を熱測定から評価した自由度から解説する。

世話人  松永 悟明
(mat@phys.sci.hokudai.ac.jp)
北海道大学理学部物理学科 (電話011-706-3484)


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