「レーザー冷却原子を用いた量子技術の最近の研究」
中川 賢一 氏

Oct 12, 2018


日本物理学会北海道支部講演会・応用物理学部門学術講演会

講演題目: レーザー冷却原子を用いた量子技術の最近の研究
講 師 : 中川 賢一 氏
     電気通信大学レーザー新世代研究センター 教授
日 時 : 平成30年10月12日 (金) 16:00~18:00
場 所 : 北海道大学工学部 物理工学系大会議室 (A1-17室)
共 催 : 第252回エンレイソウの会
要 旨 :
量子技術とは、量子力学の性質を用いて従来の古典技術の限界を超える技術を 実現しようというもので、これには量子コンピューティング、量子暗号などが挙 げられます。近年、レーザー冷却によって得られる極低温原子を用いて、このよ うな量子技術を実現しようと多くの研究が行われております。そこで本講演では、 原子干渉計による量子慣性センサーと、量子シミュレーションを取り上げてその 原理と最近の研究を紹介いたします。  原子干渉計は、光の代わりに原子を用いた干渉計で、原子に働く様々な力を高 精度に測定することができます。特に、原子に働く慣性力を測定することにより、 重力加速度や回転を従来の光学干渉計より高い精度および感度で測定することが 可能になります。この原子干渉計を用いた量子慣性センサーの原理と実際の実験 結果を紹介した後、最近の研究動向を紹介します。  次に、近年、注目されている量子シミュレーションについて紹介します。磁性 体や超伝導体などの量子多体系の性質を計算機シミュレーションで調べようとす ると、粒子数の増加に対して指数関数的に計算量が増加するため、量子シミュレー ションではこれに代わって、冷却原子などからなる人工的な制御性の良い量子多 体系でこの系を模倣してその物理的振る舞いを調べようというものです。我々の グループでは、最近、レーザー冷却原子を用いて強く相互作用する量子スピン系 のシミュレーションを実現しましたので、その実験結果と今後の研究動向を紹介 します。

世話人  長谷川 祐司
(yhasegawa@eng.hokudai.ac.jp)
北海道大学大学院工学研究院応用物理学部門


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