「Nematic superconductivity in topological materials」
Anne de Visser 氏

Oct 21, 2019


日本物理学会北海道支部講演会

講演題目: Nematic superconductivity in topological materials
講 師 : Anne de Visser 氏
      Van der Waals-Zeeman Institute, University of Amsterdam, The Netherland
日 時 : 2019年10月21日 (月) 16:30 - 17:30
場 所 : 北海道大学理学部5号館5-206
要 旨 :
Topological insulators have generated a wide research interest, because they offer access to novel quantum states with unprecedented properties. Most interestingly, the concept of topological insulators can be transferred to superconductors, where the superconducting gap plays the role of the band gap of the insulator. Topological superconductors are predicted to have an exotic Cooper-pair state in the bulk and gapless Andreev bound states at the surface (Majorana modes), and therefore offer new, challenging routes to test theories of unconventional superconductivity. In this presentation I will focus on the recent developments in superconducting Bi2Se3-based crystals, where field-angle dependent measurements of the transport, thermal and magnetic properties have revealed a spontaneous breaking of the rotational symmetry [1,2,3]. The rotational symmetry breaking in the macroscopic superconducting properties is explained in terms of nematic superconductivity, that is associated with a two-component superconducting order parameter (Eu representation) [4]. The experimental results provide solid evidence for unconventional superconductivity with an odd-parity spin-polarized triplet Cooper-pair state (Δ4-pairing),that was recently proposed for rhombohedral topological superconductors [5].

[1] Y. Pan et al., Sci. Rep. 6, 28632 (2016).
[2] S. Yonezawa et al., Nature Phys. 13, 123 (2017).
[3] T. Asaba et al., Phys. Rev. X 7, 011009 (2017).
[4] J. Venderbos et al., Phys. Rev. B 94, 180504R (2016).
[5] L. Fu, Phys. Rev. B 90, 100509R (2014).


世話人 網塚 浩

(北海道大学大学院理学研究院 物理学部門)


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「密度行列のダイナミクスにおける非エルミート行列の例外点 」
羽田野 直道 氏

Oct 15, 2019


日本物理学会北海道支部講演会

講演題目: 放射光X線と中性子散乱の相補利用を通した局所反転対称性のないf電子系 化合物の研究
講 師 : 羽田野 直道 氏
      東京大学 生産技術研究所
日 時 : 令和元(2019)年10月15日(火) 13:30〜
場 所 : 北海道大学工学部A棟 A1-17
要 旨 :
非エルミート系の例外点とは、パラメータ空間において2つ以上の固有値が一致するだけでなく、それらの固有ベクトルも平行になる点です。行列のランクが下がり、対角化不可能でジョルダン標準形に帰着されます。一般にp個の固有ベクトルが平行になってしまう点をp次例外点と呼びます。そこではダイナミクスが通常の場合と異なります。多くの場合、2次元パラメーター空間上では2次例外点が「点」として存在し、3次以上の例外点は、より高次元のパラメーター空間にしか存在しません。ところが本研究[1]のモデルでは、Lindblad方程式の対称性のため、2次元パラメータ空間で2次例外点が「線」を成し、2つの例外「線」が交差する点が3次例外点となることを示します。パラメータの詳細な調整が必要なく、実験的に検出するのに便利な例です。
[1] N. Hatano, Exceptional points of the Lindblad operator of a two-level system, Mol. Phys. 117, 2121--2127 (2019)

世話人 小布施 秀明

(北海道大学大学院工学研究院応用物理学部門)


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「Experimental signature of the attractive Coulomb force between positive and negative magnetic monopoles in spin ice」
Carley PAULSEN 氏

Oct 02, 2019


日本物理学会北海道支部講演会

講演題目: Experimental signature of the attractive Coulomb force between positive and negative magnetic monopoles in spin ice
講 師 : Carley PAULSEN 氏
      Institute of Neel, CNRS, Grenoble, France, Director of Research
日 時 : 令和元年10月2日 (水) 10:30~11:30
場 所 : 室蘭工業大学 教育研究1号館 A324 室
要 旨 :
Thermal physics, electrical engineering, chemistry and biochemistry are essentially determined by the Coulomb interaction of quasiparticles. Such quasiparticles are not real and cannot be interrogated by the methods of particle physics. So how do you prove experimentally that two quasiparticles interact via Coulomb’s law ? In this talk I will show how this can be done for magnetic, rather than electric quasiparticles. By freezing spin ice to 65 mK we create (+ -) pairs of emergent magnetic monopoles which we then separate with a magnetic field. Our experiment is arranged to make the magnetic current exactly analogous to an electrical current, and we observe a current that grows exponentially with the square root of the applied field. A non-Ohmic current that grows exponentially with the square root of applied electric field is well known from thermionic emission, electrolytes and semiconductors. It is a universal signature of the attractive Coulomb force between positive and negative electrical charges, which is revealed as the charges are driven in opposite directions by the force of an applied electric field.
世話人  関根 ちひろ
(sekine@mmm.muroran-it.ac.jp)
室蘭工業大学大学院工学研究科しくみ情報系領域/情報電子工学系専攻


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「高温超伝導ルネサンス−ノンドープ超伝導体の発見と新しい電子相図」
内藤 方夫 氏

Sep 20, 2019


日本物理学会北海道支部講演会

講演題目: 高温超伝導ルネサンス−ノンドープ超伝導体の発見と新しい電子相図
講 師 : 内藤 方夫 氏
      東京農工大学工学部物理システム工学科
日 時 : 令和元年9月20日 (金) 16:30~18:00
場 所 : 北海道大学工学部C棟C214室
共 催 : 第264回エンレイソウの会
要 旨 :
銅酸化物高温超伝導体の発見(1986年)から30年余が経過するが,その超伝導 発現機構に関して皆が納得するような理解は得られていない.そのような状況に あっても,「超伝導は反強磁性絶縁体母物質へのキャリアドーピングにより発現 する」というフレーズは多くの研究者の認めるところであった.例えば, BednorzとMullerにより最初に発見されたLa2-xBaxCuO4は,母物質のK2NiF4構造 (略称T構造)La2CuO4のLa3+をBa2+で置換した「正孔ドープ超伝導体」(Tc ~ 30 K)である.逆に,La2-xCexCuO4は,母物質のNd2CuO4構造(略称T’構造) La2CuO4のLa3+をCe4+で置換した「電子ドープ超伝導体」(Tc ~ 30 K)である.  現在,教科書的に信じられている高温超伝導体の電子相図(超伝導転移温度 (Tc)やネール温度(TN)などの特性温度のドープ量x依存性)からは,超伝導が正 孔・電子ドーピングいずれによっても発現し,おおよそ「正孔・電子対称性」が 成立しているように見てとれる.この相図に基づいて,「キャリアをドープして いない母物質は反強磁性モット絶縁体であり,適量のキャリアドーピングにより 超伝導が発現する」という「ドープされたモット絶縁体」描像が提唱された.そ して,強い電子相関描像から超伝導発現機構にアプローチする流れができあがっ ていった.  これに対し,我々のグループでは,2003年以降,T’構造を持ち,少なくとも 化学式上は母物質のままの「ノンドープ超伝導体」を次々と合成した.分子線エ ピタキシー(MBE)法をはじめとする高度な薄膜成長手法を物質合成に適用して得 られた成果である.ノンドープ超伝導体が薄膜の形で合成・発見されたのには, 「銅−酸素の化学結合が弱い」という銅酸化物超伝導体の物質科学的な特徴が大 きく関係している.  さらに2009-2010年になると,電子相関を顕わに扱える動的平均場理論(DMFT) と,局所密度近似(LDA)を組み合わせた第一原理計算によって,銅に酸素が八面 体六配位したT構造と,同じく平面四配位したT’構造の「配位の差による電子構 造の違い」を予測できるようになった.Rutgers大のグループは, T-La2-xSrxCuO4とT’-Nd2-xCexCuO4に対してDMFT計算を行い,母物質T-La2CuO4 とT’-Nd2CuO4の基底状態が異なることを示した.反強磁性秩序を起こさず常磁 性状態が維持されると仮定したとき,T構造の母物質T-La2CuO4は電荷移動型絶縁 体,T’構造の母物質Nd2CuO4は常磁性金属になるという結論である.T’構造の 母物質が超伝導性を示すという我々の実験結果と基本的には整合する.  これらの結果の解釈に関しては,未だ論争が続いているが,将来のさらなる研 究によってノンドープ状態での超伝導発現が確立すれば,高温超伝導の発現機構 と物理を理解する流れの一つのターニングポイントとなるであろう.本表題中の 「ルネサンス」は,銅酸化物超伝導研究における原点回帰と多様性の復興を意図 したものである.
世話人  迫田 將仁
(sakodam@eng.hokudai.ac.jp)
北海道大学大学院工学研究院応用物理学部門


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「ハイブリッド系による量子情報及びテクノロジー」
久保 結丸 氏

Sep 19, 2019


日本物理学会北海道支部講演会

講演題目: ハイブリッド系による量子情報及びテクノロジー
講 師 : 久保 結丸 氏
      OIST
日 時 : 令和元年9月19日 (木) 16:30~17:30
場 所 : 理学部5号館5-205
共 催 : 第265回エンレイソウの会
要 旨 :
量子情報科学の研究分野で蓄積された知見を技術応用しようという気運が世界中 で高まっている.量子による技術は総称して「量子テクノロジー」と呼ばれ,そ の最たる例が量子コンピュータである.Google,Intel,IBM, Microsoftといっ た主要なIT企業がここ数年の間に 量子テクノロジーへの支援を立て続けに開始 しており,量子テクノロジーは次世代社会の基幹技術として非常に注目を集めて いる. 本講演では,講演者が前所属機関(仏サクレー研究所)において実証した幾つか の実験を紹介する.まず,超伝導量子回路とダイヤモンド中の窒素ー空孔(NV) 中心の電子スピンをコヒーレントに結合させることに成功し,スピンと超伝導量 子回路の「ハイブリッド量子系」を実現した [1,2]. 次に,超伝導量子回路の技術をスピン共鳴分光へと応用し,かつてない検出感度 を持つESR分光器を実証した [3].また,緩和時間が長い固体中の電子スピンに おいては観測が極めて困難と考えられていた自然放出現象を観測することにも成 功した [4]. 最後に,現所属機関における研究プロジェクト(スピンを用いたマイクロ波ー光 のコヒーレント変換)の概観及び進捗状況 [5]に関しても簡単に紹介する. [1] Kubo et al., Phys. Rev. Lett. 105, 140502 (2010). [2] Kubo et al., Phys. Rev. Lett. 107, 220501 (2011). [3] Bienfait et al., Nature Nanotech. 11, 253 (2016). [4] Bienfait et al., Nature 531, 74 (2016).
世話人  井原 慶彦
(yihara@phys.sci.hokudai.ac.jp)
北海道大学大学院理学研究院物理学部門


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「複雑ネットワークの統計物理―相転移と臨界現象の変わった話」
長谷川 雄央 氏

Sep 06, 2019


日本物理学会北海道支部講演会

講演題目: 複雑ネットワークの統計物理―相転移と臨界現象の変わった話
講 師 : 長谷川 雄央 氏
      茨城大学理学部数学情報数理領域
日 時 : 令和元年9月6日 (金) 16:30~18:00
場 所 : 北海道大学理学部2号館2-211室
共 催 : 第263回エンレイソウの会
要 旨 :
ネットワークとは頂点と頂点間を結ぶ辺の集合であり、つながり・関係を表現す るのに使うことができる。WWW、友人関係、食物連鎖等、我々の周りには巨大で 複雑なネットワークが様々ある。そのような複雑ネットワークに関する研究は 1990年代末に始まり、現実ネットワークの多くは「次数分布がべき則に従う」ス ケールフリー性や「ネットワークの平均距離が頂点の対数オーダーになる」スモ ー ルワールド性を持つことが明らかになった。現実ネットワークのそういった特徴 を再現するネットワークの生成モデルも数多く提案されている。 複雑なネットワークの上に配置された統計物理モデル(パーコレーション、コン タクトプロセス、イジングモデル等)について調べる研究も数多くある。ネット ワーク上に配置された統計物理モデルは相転移を示す。対称性の高いユークリッ ド格子と異なり、複雑ネットワークはランダムで非一様なつながりをしており、 スケールフリー性やスモールワールド性などの特徴を持つ。そのため、複雑ネッ トワーク上で起こる相転移もまた、標準的なユークリッド格子系ではみられない ような、変わった性質を示す。 本講演では、相転移を示す最も単純な統計物理モデルであるパーコレーションを 扱い、複雑なネットワーク構造が引き起こす変わった相転移を紹介する。前半は、 臨界点の単一性についてとりあげる。ユークリッド格子上のボンドパーコレーシ ョ ンは一つの臨界「点」で相転移を起こすが、複雑ネットワークでは臨界状態が有 限領域にわたる臨界「相」が現れる。臨界相の特徴を、臨界相の出現条件につい ての考察とともに、紹介する。後半は、パーコレーションのユニバーサリティに ついてとりあげる。ユークリッド格子上のサイトパーコレーションは、ボンドパ ー コレーションと同じユニバーサリティクラスに属し、定性的に同じ振舞いをする。 しかし、ネットワークによっては、ユニバーサリティが破れる。階層的なネット ワークを例に紹介する。
世話人  根本 幸児
(nemoto@statphys.sci.hokudai.ac.jp)
北海道大学大学院理学研究院物理学部門


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「Influence of multiplicative and additive noise on stationary dissipative solitons」
Helmut R. Brand 氏

Sep 05, 2019


日本物理学会北海道支部講演会

講演題目: Influence of multiplicative and additive noise on stationary dissipative solitons
講 師 : Helmut R. Brand 氏
      Department of Physics, University of Bayreuth, Germany
日 時 : 令和元年9月5日 (木) 11:00~12:00
場 所 : 北海道大学電子科学研究所1階セミナー室1-3
共 催 : 第262回エンレイソウの会
要 旨 :
We give an overview of the influence of noise on stationary spatially localized patterns. We recall first that a small amount of additive noise can induce explosions for dissipative solitons in the vicinity of the transition sequence from stationary dissipative solitons to exploding dissipative solitons [1]. We will also comment briefly on the effect of large noise in connection with dissipative solitons [2]. In addition, we have shown that purely multiplicative noise can lead to the collapse of dissipative solitons [3]. Stimulated by the results on additive and multiplicative noise we have studied very recently the simultaneous presence of multiplicative and additive noise [4]. Depending on the ratio between the strength of additive and multiplicative noise we find a number of distinctly different types of behavior including explosions, collapse, filling-in and spatio-temporal disorder as well as intermittent behavior of all types listed. [1] C. Cartes, O. Descalzi, H.R. Brand, Phys. Rev. E 85, 015205 (2012). [2] O. Descalzi, C. Cartes, H.R. Brand, Phys. Rev. E 91, 020901 (2015). [3] O. Descalzi, C. Cartes, H.R. Brand, Phys. Rev. E 94, 012219 (2016). [4] C. Cartes, O. Descalzi, H.R. Brand, Phys. Rev. E 100, 012214 (2019).
世話人  北 孝文
(kita@phys.sci.hokudai.ac.jp)
北海道大学大学院工学研究院応用物理学部門


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「電子ネマティック液晶の物理」
山瀬 博之 氏

Jul 25, 2019


日本物理学会北海道支部講演会

講演題目: 電子ネマティック液晶の物理
講 師 : 山瀬 博之 氏
      物質・材料研究機構
日 時 : 令和元年7月25日 (木) 16:30~18:00
場 所 : 北海道大学理学部2号館2-211室
共 催 : 第261回エンレイソウの会
要 旨 :
ネマティック液晶は、系の方向対称性のみが破れた状態として特徴づけられる液晶である。 ところで、電子系においてもそのような対称性の破れた状態が存在し、電子ネマティック液晶と呼ばれている。 関連する電子の自由度に応じて、スピン、電荷、軌道のネマティック状態が理論的に知られている。 近年、この電子ネマティック液晶が、銅酸化物超伝導体、鉄系超伝導体、 ルテニウム酸化物、二次元電子ガス、量子スピン系で実現している可能性が指摘され、 活発な研究が行われている。本講演では、電子ネマティック液晶の物理を概観し、 最前線の研究の一端を紹介したい。
世話人  吉田 紘行
(hyoshida@sci.hokudai.ac.jp)
北海道大学大学院理学研究院物理学部門


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「相分離生物学」
白木 賢太郎 氏

Jul 18, 2019


日本物理学会北海道支部講演会

講演題目: 相分離生物学
講 師 : 白木 賢太郎 氏
      筑波大学数理物質系
日 時 : 令和元年7月18日 (木) 10:30~12:00
場 所 : 北海道大学工学部アカデミックラウンジ3
共 催 : 第260回エンレイソウの会
要 旨 :
金属−絶縁体転移(MIT)は強相関電子系における最も劇的な現象の一つである。 細胞内にはなぜ高濃度の生体分子があるのだろうか? 何千種類もの化学反応 がある代謝の連続反応がなぜ働いているのか? シグナル伝達とはリン酸化に他 ならないが、リン酸化するとはどういう意味があるのか? さまざまな生物が危 険な疾患を引き起こす可能性のあるプリオンを持っているのはなぜか? 翻訳後 修飾のようなごくわずかな化学構造の変化がどのようにして高次の生命現象につ ながるのだろう? タンパク質は固有の構造を形成して働くというが、高次構造 を形成しないタンパク質は何をしているのだろう? 生物学にはまだ謎が多いが、 このような謎に答えることができる「相分離生物学」という新しい学問分野を紹 介したい。相分離生物学は、状態から見る生物学である。タンパク質や生体高分 子は液-液相分離しやすい性質があり、それが細胞内の機能と結びついて、生物 学的相分離と呼べる状態を作り出しているのである。今回のセミナーでは特に、 細胞内にある物理現象としての生物学的相分離について、討論の時間も少し長め に設けたい。 参考文献:『相分離生物学』白木賢太郎(著)東京化学同人 ISBN-13:978-4807909650
世話人  藤井 修治
(sfujii@eng.hokudai.ac.jp)
北海道大学大学院工学研究院応用物理学部門


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「擬1次元導体と金属−絶縁体転移」
上田 寛 氏

Jul 08, 2019


日本物理学会北海道支部講演会

講演題目: 擬1次元導体と金属−絶縁体転移
講 師 : 上田 寛 氏
      東京大学名誉教授
日 時 : 令和元年7月8日 (月) 16:30~18:00
場 所 : 北海道大学理学部5号館5-206室
共 催 : 新物質科学研究会、第259回エンレイソウの会
要 旨 :
金属−絶縁体転移(MIT)は強相関電子系における最も劇的な現象の一つである。 本講演では、豊田理研、物性研での研究から、以下の4つの擬1次元物質をとり あげ、様々なMITを紹介する。 Sr7Re4O19:ReO6八面体が頂点酸素共有で作る結合ジグザグ鎖からなる擬1次元 導体で、スピンシングレット形成を伴ったMIT(パイエルス転移?)を示す。 K2Cr8O16:CrO6八面体が稜共有で作るジグザグ鎖4本よりなるトンネル構造を持 ち、強磁性を維持したままMITを示す。混合原子価であるが絶縁体相で電荷分離 ・電荷秩序はなく、その特異なMIT機構についても触れる。 BaFe2S3:FeS4四面体よりなる2本足梯子物質で、反強磁性絶縁体であるが、加 圧により金属に転移し、同時に超伝導(TC=24K)を示す。 β-A0.33V2O5 (A=Li, Na, Ag, Ca, Sr):VO6, VO5多面体よりなる擬1次元構造 をもち、電荷秩序を伴ったMITを示す。A=Li, Na, Ag物質では加圧によりMITは抑 えられ、超伝導を示す。一方、A=Ca, Sr物質では様々な電荷密度波周期をもった 絶縁体相が現われる。
世話人  吉田 紘行
(hyoshida@sci.hokudai.ac.jp)
北海道大学大学院理学研究院物理学部門


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「化合物半導体によるメカニカル共振器構造」
山口 浩司 氏

Jun 19, 2019


日本物理学会北海道支部講演会

講演題目: 化合物半導体によるメカニカル共振器構造
講 師 : 山口 浩司 氏
      NTT物性科学基礎研究所 / 東北大学 理学研究科
日 時 : 令和元年6月19日 (水) 16:30~18:00
場 所 : 北海道大学工学部物理工学系大会議室 (A1-17)
共 催 : 応用物理学部門学術講演会、応用物理学会北海道支部講演会、第258回エンレイソウの会
要 旨 :
昨今、メカニカル共振器に関する基礎研究が活性化している。メカニカル共振器は タイミングデバイスや高感度センサーなどオンチップで集積可能な低損失素子として 実用化されているが、そこに非線形性や光・スピンなどの新たな自由度を導入するこ とにより、多機能の信号処理技術やこれまでとは異なる原理に基づいたセンサー、さ らには量子情報処理技術への応用などが期待されている。 化合物半導体を用いたメ カニカル共振器は、MBEやMOCVDなどの高純度結晶成長法によって成長した単結晶ヘテ ロ構造から作製され、安定した機械振動特性や圧電特性を活用した電気機械的機能、 さらには光やスピンとの相互作用を用いた光/スピン機械的機能などの優れた特徴を 有する[1]。本講演ではGaAs/AlGaAsヘテロ構造を用いて作製したメカニカル共振器に 関して、これまで我々が進めてきた研究の概要と最近の話題[2-4]について、時間の 許す範囲で紹介する。 [1] H. Yamaguchi, ";GaAs-based micro/nanomechanical resonators" Semicond. Sci. Technol. 32, 103003 (2017) [2] R. Ohta, et al., ";Dynamic control of the coupling between dark and bright excitons with vibrational strain" Phys. Rev. Lett. 120, 267401 (2018) [3] Y. Okazaki, et al., "Dynamical coupling between a nuclear spin ensemble and electromechanical phonons" Nat. Commun. 9, 2993 (2018) [4] M. Kurosu, et al., "On-chip temporal focusing of elastic waves in a phononic crystal waveguide" Nat. Commun. 9, 1331 (2018)
世話人  友田 基信
(mtomoda@eng.hokudai.ac.jp)
北海道大学大学院工学研究院応用物理学部門


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「固体および液体酸素の超強磁場誘起相転移」
野村 肇宏 氏

Jun 14, 2019


日本物理学会北海道支部講演会

講演題目: 固体および液体酸素の超強磁場誘起相転移
講 師 : 野村 肇宏 氏
      東京大学物性研究所
日 時 : 令和元年6月14日 (金) 16:30~17:30
場 所 : 北海道大学理学部2号館211室
共 催 : 物理コロキウム、第257回エンレイソウの会
要 旨 :
酸素は等核二原子分子でありながらスピン量子数S=1が基底状態となる、特異な 分子磁石である。固体酸素は単原子固体で唯一の反強磁性絶縁体であり、その磁 性は古くから研究者たちの興味を集めた。ファンデルワールス力と反強磁性交換 相互作用の拮抗から、固体および液体酸素の結晶構造(局所構造)は磁気的基底 状態に強く依存する。 ”外部磁場によって磁気構造を制御した際に結晶構造がどう変化するか”という 問題は一見古典的だが、超強磁場を必要とすることから最近まで実験的検証は無 かった。 我々は一巻きコイル法を用いた100-200 T領域の物性測定によって固体酸素の磁 場誘起相を発見し、その相図を明らかにすることに成功した[1,2]。 また液体酸素においても同様の液体-液体相転移の存在を示唆する結果を得た。 本コロキウムでは、酸素の強磁場研究の歴史を振り返り、今後の展開について議 論する。 [1] T. Nomura, Y. H. Matsuda, S. Takeyama, A. Matsuo, K. Kindo, J. L. Her, T. C. Kobayashi, Phys. Rev. Lett. 112, 247201 (2014). [2] T. Nomura, Y. H. Matsuda, T. C. Kobayashi, Phys. Rev. B 96, 054439 (2017).
世話人  柳澤 達也
(tatsuya@phys.sci.hokudai.ac.jp)
北海道大学大学院理学研究院物理学部門


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「Nanoparticles in the ionosphere of Earth and other solar system objects」
Prof. Ingrid Mann

Jun 05, 2019


日本物理学会北海道支部講演会

講演題目: Nanoparticles in the ionosphere of Earth and other solar system objects
講 師 : Prof. Ingrid Mann
      UiT the Arctic University of Norway, Tromso, Norway
日 時 : 令和元年6月5日 (水) 16:30~18:00
場 所 : 北海道大学理学部 8号館 2階 コスモスタジオ
共 催 : 宇宙理学セミナー
要 旨 :
The upper atmosphere at the transition to space contains small nanometer-sized dust particles. The particles originate from the entry of the cosmic dust into the atmosphere, a process where a large fraction of material evaporates and then re-condenses; at low temperature water ice condenses on the dust. These dust/ice particles are often electrically charged and interact with the other charged components of the atmosphere that at this altitude is partially ionized. Through its charge the dust also plays a role in atmospheric chemistry. The dust particles can be observed with rocket measurements, optically and with radar. Charged nanodust, below the size that is observed optically leads to the formation of strong radar echoes (PMSE, for Polar Mesospheric Summer Echoes). The dust is carried in the surrounding neutral atmosphere which is governed by solar radiative forcing from above and from below by atmospheric waves, notably gravity, tidal, and planetary waves. They shape the observed PMSE wavy structures. PMSE are observed independent from weather conditions, which makes them a good target for long-term studies. Advanced observations will be possible with the multi-static phased array radar EISCAT_3D that is at present under construction in Norther Europe (cf. McCrea et al. 2015). At the same time, the ionosphere can be considered a dusty plasma where the dust participates and gives rise to plasma collective effects. The presence of charged dust influences the charge balance. In many cases, the dust component is inferred from reduced electron abundance. This is observed from sounding rockets and at other solar system objects with Langmuir probes from spacecraft. A key issue for understanding observational data are the interactions and charging rates and for nanodust particles (Mann et al. 2014) those are different from larger particles. McCrea, I., et al. (2015) Prog. Earth Planet. Sci. 2, 21, doi:10.1186/s40645-015-0051-8. Mann, I., Meyer?Vernet, N., Czechowski, A. (2014) Physics Reports 536, 1-39.
世話人  倉本 圭
(keikei@ep.sci.hokudai.ac.jp)
北海道大学大学院理学研究院地球惑星科学部門


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「半導体表面上の原子層超伝導体 −超伝導が表面科学と出会うとき−」
内橋 隆 氏

Mar 26, 2019


日本物理学会北海道支部講演会

講演題目: 半導体表面上の原子層超伝導体 −超伝導が表面科学と出会うとき−
講 師 : 内橋 隆 氏
      物質・材料研究機構 表面量子相物質グループ グループリーダー
日 時 : 平成31年3月26日 (火) 15:00~16:00
場 所 : 北海道大学理学部2号館211室
共 催 : 物理コロキウム、第256回エンレイソウの会
要 旨 :
近年、原子スケールの厚さしかないにもかかわらず高い結晶性を有する理想的な 二次元超伝導体の研究が、世界中で急速に進展している[1]。とりわけ、半導体 表面上の金属原子層において発見された超伝導に対しては、表面科学的手法を駆 使した新たな研究の展開が可能となる [2]。 このような系では、電子状態は基板や吸着分子からの電荷移動やスピンなどの影 響を強くうけることが予想される。 また、固体表面では必然的に空間反転対称性が破れることから、スピン軌道相互 作用によるラシュバ効果が超伝導物性に影響を及ぼすことが期待される。 われわれのグループでは、超高真空・極低温・強磁場の多元極限環境における電 子輸送測定と、走査トンネル顕微鏡や角度分解光電子分光などの表面敏感な計測 手法を組み合わせた研究を行ってきており[3,4]、本講演では最近の成果を含め て紹介したい。 [1] T. Uchihashi, Supercond. Sci. Technol. 30, 013002 (2017) [highlight in 2017]. [2] T. Uchihashi et al., Phys. Rev. Lett. 107, 207001 (2011) [Editors’ Suggestion and featured in Physics]. [3] S. Yoshizawa, TU et al., Phys. Rev. Lett. 113, 247004 (2014) [Editors’ Suggestion and featured in Physics]. [4] S. Yoshizawa, TU et al., Nano Lett. 17, 2287 (2017).

世話人  松永 悟明
(mat@phys.sci.hokudai.ac.jp)
北海道大学大学院理学研究院物理学部門


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「化学の知見を活用した超伝導物質開発」
野原 実 氏

Jan 31, 2019


日本物理学会北海道支部講演会

講演題目: 化学の知見を活用した超伝導物質開発
講 師 : 野原 実 氏
      岡山大学異分野基礎科学研究所
日 時 : 平成31年1月31日 (木) 15:00~16:00
場 所 : 北海道大学理学部5号館2-305室
共 催 : 物理コロキウム、第255回エンレイソウの会
要 旨 :
1981年のノーベル化学賞は、フロンティア軌道理論の福井謙一と、 化学反応におけるウッドワード・ホフマン則を明らかにした ロアルド・ホフマンに授与された。固体物理とは一見無関係だが、 ホフマンは “How Chemistry and Physics Meet in Solid State” などの論文で、バンドフィリングによる化学結合の形成・切断制御や、 正構造と逆構造の積層による電荷移動など、超伝導物質の設計に 使えそうな様々なアイデアを提唱している。本コロキウムでは、 私たちの研究チームが開発した112型鉄系超伝導体CaFeAs2や 白金系超伝導体SrPt2As2などを例にして、ホフマンの化学を活用した 超伝導体の物質設計について議論する。

世話人  網塚 浩
(amiami@phys.sci.hokudai.ac.jp)
北海道大学大学院理学研究院物理学部門


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